幾つかのゲームでは、点数のやり取りにチップを使いことがあります。 このページではチップの使い方についてまとめました。 また、ポーカーなどにあるチップをかける局面、すなわちベットについてと、 賭けるチップについての制限、すなわちリミット(limit)についてもまとめました。 トランプゲーム大全(2014、スモール出版、赤桐裕二著)や ゲームファームなどを参考にしました。
チップ(chip)とは、点数のやり取りをするときに使う目印のことです。 カジノなんかではカジノ内で使うことのできるお金としての役割を果たしています。
チップの中で最も有名なのはポーカーチップでしょう。 ゲームによっては専用のチップを要求することがありますが、 そういう時でも、ほとんどの場合はポーカーチップで代用することができます。
ポーカーチップは、多くはプラスチックか粘土(clay)製で、 額面によって色分けされています。場合によっては色分けだけで額面が書いていないこともあります。
額面が書かれていないチップでは、色によって額面を自由に決めることができます。 用意したチップの枚数や、遊ぶゲームで必要なチップの点数に応じて、事前に額面を決めておきましょう。 ただ、次のような原則が存在するようなので、可能ならば次の表に示すような額面にしておけば混乱はないでしょう。 なお、必ず原則に従う必要はありませんし、用意したチップによっては原則に従えないこともあるでしょう。 ですから、原則はあくまでも目安だと捉えてください。
白 | 赤 | 青 | 黄 |
---|---|---|---|
1チップ | 5チップ | 10チップ | 25チップ |
チップを賭けることをベット(bet)と言います。 ベットのやり方を、ポーカーを例にとって説明します。 ポーカーのベットの仕方がわかれば、他の大凡のギャンブルゲームのベットの仕方を理解することができると思います。
ベットをするときはテーブルの上の自分の近くにベッドするだけのチップを置きます。 また、ディール中にベットを行う機会が何回かあって、 そのことをベットラウンド(betting round /betting interval)と言います。 ベットラウンドでは、一人ずつ時計回りの順に(反時計回りに進行するなら反時計回りの順に)ベットを行ってゆきます。 一つのベットラウンドで、ベットをする機会が何度かあることもあります。 以下、ベットラウンドでベットする方法を説明します。
ゲームによって、カードが配られる前に、全員が同じ額を参加料として支払うことがあります。 これをアンティ(anti)と言います。 アンティはポットに支払います。
ベットラウンドで初めに行われるベットです。誰がやるかはゲームによって変わります。 何も言わずにチップを出すだけで構いません。 オープニングベットの額は、後述するリミットの制限の中でなら、好きな額をベットできます。
ベットラウンドで、最初のオープニングベットの番のプレイヤーや、 その次のプレイヤーが強制的に決められた額をベットしなければならないことがあります。 このことをブラインドベット(blind bet)、 もしくはブリングイン(bring in)と言います。
最初のプレイヤーが小さい額のブラインドベットを行い、次のプレイヤーが大きいブラインドベットを行うとき、 前者をスモールブラインド(small blind)、 後者をビッグブラインド(big blind)と言います。
ブラインドベットがない場合、オープニングベットをする代わりにチェック(ceck)の宣言をすることができます。 チェックとは、とりあえずベットを行わないということですが、次回ベットをする権利は残ります。 すなわち0チップのビットと同じです。 チェックの宣言をするときは、チェックと発言するかテーブルを叩きます。
チェックを行うと次のプレイヤーにオープニングベットが移りますが、そのプレイヤーもチェックできます。 このようにして全員がチェックをすると、そのベットラウンドは終了します。
オープニングベットがあった後で、今までにそのベットラウンドでベットされた最高額と同じ額をベットすることです。 すでにベットしていたチップがあれば、それに加えることで最高額と同じ額にします。
単にチップを出すだけで構いませんが、コールと宣言してからチップを出した方がわかりやすいでしょう。
そのベットラウンドでベットされた最高額よりも大きい額をベットすることです。 今までの最高額より、何チップ大きい額にレイズすることができるかは、後述するリミットによって制限されます。
何チップレイズするかわかりにくい場合は、何チップレイズするか宣言し、 一旦今までの最高額までチップを出してからレイズをしても構いません。
ベットを行わないで、プレイから降りたい時は、フォールド(fold)と宣言することでプレイから降りることができます。 また、オープニングベットがあった後、自分の番にコールもレイズもしたくなければ、フォールドの宣言をしなくてはなりません。
フォールドをしたら、自分のカードで表向きになっているカードがあれば、すべて裏向きにします。 また、次のディールが始まるまで、カードを配られる権利、ベットをする権利、 (自分がベットした分も含めて)チップを受け取る権利、すべて完全になくなります。 もちろん、次のディールには参加できます。
なお、フォールドしていない状態をステイ(stay)と言います。
フォールドしていないプレイヤー全員のベットの額が同じになると、ベットラウンドは終了します。 ベットラウンドが終わると、そのベットラウンドでベットされたチップはすべて集められ、ポットに入れられます。 一人を残してすべてのプレイヤーがフォールドした時は、最後までステイしていたプレイヤーの勝ちとなり、 ポットのチップはすべてそのプレイヤーのものとなります。
ゲーム中に、テーブルの外部とチップのやり取りをしてはならないというルールが、 テーブルステークス(table stakes)です。 これはすなわち、ゲーム中に獲得したチップを確定させるためにテーブル上からしまうことや、 チップがなくなった時に、テーブルの外からチップを補充することを禁じているわけです。
ベットの額の制限のことをリミット(limit)と言います。 プレイの前に、どのリミットを使うか決めて、額や細則を決めなければなりません。 また、多くのゲームでは、1回のディールにベットラウンドが何回かあって、 最初の方のベットラウンドと、最後の方のベットラウンドでは、制限が変わることがあります。
以下に代表的なものを4つ挙げますが、いずれのリミットにおいても、テーブルステークスは通常採用されます。
なお、以下に示すどのリミットでも、一度レイズがあれば、 そのレイズより小さい上げ幅でレイズすることができないという制限を設けることが普通です。
家庭で行われるポーカーとしては最も一般的で、カジノでもよく用いられるリミットである、 オープニングベットとレイズの上げ幅が固定のものです。 この2つは通常同じ額になります。 最後の方のベットラウンドでは2倍になることが普通です。
フィックストリミットを記述する時は、例えば「10/20」と記述します。 この場合、前半のベットラウンドでは、オープニングベットとレイズの上げ幅が10チップとなり、 後半では20チップとなります。 それより多くとも少なくともいけません。 例えば、10/20の時に、前半のベットラウンドで、場の最高額のベットが20チップだった場合、レイズをするならば、 ちょうど10チップあげて30チップにしなければなりません。
また、フィックストリミットでは、レイズできる回数を決めておくことが普通です。 この回数の制限は、一人が行うレイズの回数ではなく、全体としての回数の制限です。 この回数の制限は4回とか3回になることが多いようですが、 もし4回の制限となれば、誰かが(全員の分を合わせて)そのベットラウンドで4回目のレイズを行えば、 そのレイズ以降はコールかフォールドしかできません。 また、フォールドしていないプレオヤーが2人になったら、通常はレイズの回数制限はなくなります。
家庭で行うポーカーでよく使われているようです。 フィックストリミットとよく似ていますが、オープニングベットとレイズの上げ幅の額の制限に幅があるものです。 例えば、1-5/1-10のスプレッドリミットであれば、最初のベットやレイズの上げ幅は、 前半のベットラウンドでは1チップから5チップまでの範囲で、好きな額にできます。 後半では1チップから10チップまでの範囲で好きな額にできます。
レイズの回数の制限も普通は採用します。
その時にポットにあるチップの数が、最初のビッドやレイズの上げ幅の最高限度になるというルールです。 最小限度は、特に定めなければ1チップです。
ポットの中のチップとは、以下のすべての合計です。
例えば、今までのベットラウンドで50チップがポットに入っていて、 オープニングベットが5チップだとしたら、 ポット50チップ + ベットされた5チップ + コールに必要な5チップ = 60チップ までをレイズであげることができるので、65チップまで出してレイズすることができます。
最小額はあらかじめ決めますが、最高額には特に制限を設けないものです。 しかし、テーブルステークスは採用します。 また、今までの上げ幅より小さい上げ幅でレイズできない制限も普通は採用します。
一つのディール中に自分のポーカーチップがなくなった場合は、テーブルステークスによりチップの追加はできません。 したがって、コールしたいのに十分なチップがない状況が発生しえます。 このような状況で行うのがオールイン(all in)です。 これは自分のチップを全てベットするということで、実際はコールに必要な額に不足していますが、 これでコールすることができます。なお、他の人にとって、コールに必要な額が下がるわけではありません。 ただし勝っても得ることができるのは、そのプレイヤーがベットした額と同じ額の、他のプレイヤーのチップだけです。 つまり、自身がベットしたチップの額が、それぞれのプレイヤーから得られるチップ量の上限です。 オールインしたプレイヤーは、それ以降カードが配られたり交換したりするプレイには参加しますが、ベットは行いません。
オールインがあった場合、オールインしていないプレイヤーは、 オールインしたプレイヤーと同じ額のチップと、それ以外のチップを分けておいて、 ポットに入れる時に分けて入れるようにします。 この、プレイヤーと同額分のチップを入れるポットをメインポット(main pot)と言い、 それ以上の分はサイドポット(side pot)と呼ばれるポットに入れます。 オールインが複数回あった場合、サイドポットは複数できます。
また、レイズを行うときにも、自分の残りチップ全てを全部レイズに使ってオールインを行うことができます。 もちろんこの場合でも、レイズの額はリミット以内でなければなりません。
オールインを行ったプレイヤーが、そのディールに勝った場合は、メインポットのチップを得ることができます。 サイドポットのチップは2番目に勝った人が得ます。 オールインしたプレイヤーが負けたり、フォールドした場合は、メインポットのチップも、サイドポットのチップも、勝った人が得ます。