Windowsに付属しているゲームに含まれていて、 (恐らく)そのおかげで日本でも有名になっているトリックテイキングゲームです。 Windowsでは「ハーツ」(複数形)の名前で紹介されていますが、 トランプのルールを紹介する本には「ハート」(単数形)で紹介されているので、 ここでは「ハート」の名前で紹介することにします。 ルールはWindowsのヘルプや、赤桐裕二さんのゲームファーム、 トランプゲーム大全(2014、スモール出版、赤桐裕二著)、 EryodSoftのアプリ“Hearts”などに依ります。
19世紀の終わり頃に原型が生まれたゲームです。 ハートの系統のゲームは、いずれも点数を集めないことが目的となっていることが特徴です。 プレイ人口がかなり多いゲームですから、ローカルルールやバリエーションも多いです。 あまり大きくルールが違わない、ハートの仲間のゲームは、ここのページで紹介することにします。 まずは、アメリカでプレイされている基本のハートのルールを紹介します。
3人から5人で遊べるゲームです。 4人で遊ぶことが多いように思えますが、3人で遊ぶ方が知能的だという人もいます。 まず4人用のルールを説明してから、3人、5人の時のルールを紹介します。
前述のように、4人ルールをまず紹介します。
使うカードは通常のトランプ52枚のパックで、 カードのランクは2が一番弱く、3 4 5 …… 10 J Q Kと強くなって行き、Aが最強です。
カードの点数(これは罰点です)は次の通りで、全ての罰点の合計は26点です。
♥のカード | ♠Q | その他 |
---|---|---|
各1点 | 13点 | 0点 |
最初のディーラーは任意に決めてください。 ディーラーはディールごとに、時計回りの順で交代します。
ディーラーはカードを1枚ずつ全員に配ります。 1人当たりの手札は13枚になります。
手札を全て配られたら、手札から3枚選んで交換をします。 これをパス(pass)と言います。
パスをする相手は、ディールごとに変わります。 最初のディールは左隣にパスをします。 それ以降パスをする相手は、右隣→対面→パスなし→左隣→右隣→……とローテーションします。
パスをするときは、全員同時にパスをします。 すなわち、全員がパスをしたいカードを3枚選んでから、同時にその3枚をパスをする相手に渡します。
パスが終わると、♣2を持っている人が、 ♣2をオープニングリードしてプレイが始まります。 マストフォローのトリックテイキングゲームです。切札はありません。
最初のトリックには、点数のあるカードを出してはいけません。 また、♥のカードは、すでに♥が1枚でもプレイされているか、 手札が全て♥のカードであるかのどちらかでないとリードすることができません。 すなわち、手札が♥ばかりになった人がいなければ、 最初の♥のカードはディスカードとして出されます。
トリックで取ったカードの点数の合計が罰点となります。 罰点はディールごとに累計されます。
特殊なものが一つあります。 点数のある14枚のカード全てをとると、シュートザムーン(Shooing the moon)といい、 全部取った人の、そのディールでの罰点は0点となり、他の全員に26点の罰点が与えられます。
誰かの累計の罰点が100点を超えたらそこでゲームが終了します。 罰点の合計が少ない人から順に順位がつきます。
3人の時は♦2を抜きます。 したがって、一人当たりに配られる手札は17枚になります。
5人の時は♦2と♣2を抜きます。 したがって、一人当たりに配られる手札は10枚となります。 この時は♣3を持っている人が、 ♣3をオープニングリードして始めます。
パスをするやり方は幾つかありますが、3人、5人ともに、パスをする相手は、 右隣→左隣→パスなしとすればよいでしょう。
ハートは非常にポピュラーなゆえ、多くのバリエーションが存在します。 その中から、ゲームの名前が新しくつけられていないものを一部紹介します。 新しく名前が付けられているものは、個別に紹介します。
パスを、常に左隣の人に対して行うようにすることがあります。
♠Qが出されたら、 ♥のカードをリードできるようになるというバリエーションがあります。
シュートザムーンをした時に、他の全員に26点の罰点を加えるのではなく、 シュートザムーンをした人の累計の罰点を、26点減らすという方式があります。
♦Jに-10点の罰点を割り当てることがあります。 すなわち、♦Jをとることで罰点が減ります。
シュートザムーンをするためには、点数のある14枚に加えて、♦Jも集める必要があり、 シュートザムーンをしたら、他の全員に26点の罰点を与え、シュートザムーンをした人は罰点が10減ります。
伝統的なルールブックに載っているルールです。
パスは、常に左隣に行います。 右隣や対面にすることもありますが、必ず同じ方向に渡します。 また、オープニングリードはディーラーの左隣が行います。 ♥のカードの対するリードの制限はなく、 ゲームの終了のタイミングも決まっていません。
さらに古いルールでは、♠Qに罰点がなく、 この♠Qに罰点があるルールは ブラックレディー(Black Lady)と呼ばれていましたが、 今ではこの呼ばれ方をすることはほとんどありません。
ハートの一種で、英国でプレイされているルールです。 3〜7人でプレイできますが、3人でプレイするのが一般的のようです。
ルールはトランプゲーム大全(2014、スモール出版、赤桐裕二著)によります。 ハートとの違いを説明します。
3〜7人で遊ぶことができます。 以下の表に従って、通常の52枚のトランプから適宜枚数を抜いたパックを使います。
人数 | 抜く |
使う |
手札の |
---|---|---|---|
3人 | ♣2 | 51 | 17 |
4人 | なし | 52 | 13 |
5人 | ♣2 |
50 | 10 |
6人 | ♣2 |
48 | 8 |
7人 | ♣2 |
49 | 7 |
また、カードのランクはハートと同じですが、点数は次のようになります。
♥のカード | 各1点 |
---|---|
♠A | 7点 |
♠Q | 10点 |
♠K | 13点 |
必ず3枚を右隣のプレイヤーにパスをします。方向は固定です。
ハートと同じように計算をします。 ただしシュートザムーンはあまり採用されていないようです。 採用するとしたら、シュートザムーンを達成できなかった人全員に43点の罰点を与えます。 また、ゲーム終了のタイミングも特に決まっていません。
ハートの一種です。 トランプゲーム大全(2014、スモール出版、赤桐裕二著)に、 「日本のゲームサークル『なかよし村とゲームの木』を中心にプレイされている」と紹介されているルールです。 ハートとの違いを説明します。 赤桐裕二氏のゲームファームも参考にしています。
以下の表に従って、通常の52枚のトランプを配ります。 何枚か余るように配るので、余ったカードはテーブルに置き、一部を表向きにします。
人数 | 一人 |
テーブルに |
テーブルに |
---|---|---|---|
3人 | 16 | 4 | 2 |
4人 | 12 | 4 | 2 |
5人 | 10 | 2 | 1 |
6人 | 8 | 4 | 2 |
7人 | 7 | 3 | 2 |
また、カードのランクと点数はハートと同じです。
♥のカード | ♣Q |
---|---|
各1点 | 13点 |
パスは2回行います。 すなわち、まず2枚のカードを右隣にパスします。その後1枚だけ右隣にパスします。 方向は固定です。
オープニングリードはディーラーの左隣が行います。 また、♥のカードに対するリードの制限はなく、 点数のあるカードを最初のトリックに出してはならないという制限もありません。
配らずにテーブルに置いたカードは、最後のトリックを取った人が全てとります。
ハートと同じように、取ったカードの点数の合計が、そのディールでの罰点となります。 罰点は累計されてゆきます。
ここで、クリアルールというものがあります。 それはすなわち、罰点のあるカードを取らなかった人に対するボーナスです。 罰点のあるカードを取らなかった人を、「クリアした」プレイヤーということにします。 ディールが終わるたびに、クリアしたプレイヤーに-26点の罰点を分配するというものです。 割り切れずに余ったボーナスは、次のディールに持ち越します。 誰もクリアできなかったら、ボーナス26点すべてを持ち越します。
ボーナスが落ち越されていない状況を例にとれば、 一人だけクリアしたら、その人の累計の罰点は26点減ります。 2人がクリアしたら、それぞれの累計の罰点が13点ずつ減ります。 3人がクリアしたら、それぞれ8点ずつ累計の罰点が減り、次のディールはボーナス2点持ち越して、 28点のボーナスをクリアした人で分け合います。
ゲームの終了条件は、罰点ではなく、ディール数で決めます。 ゲームをする前に、あらかじめ何ディールプレイしてゲームを終了させるか決めておきましょう。 この時、全員が同じ回数ディーラーをするようなディール数にするべきです。