先日第二回目の「Phantom Magic Vision」全国大会が御茶ノ水にある損保会館で行なわれました。全国から集まった121名ものプレイヤーで争われた本大会ですが、その中でも前半のスイスドローを見事突破した16名のデッキに対しジャッジの観点より解説をしていきたいと思います。各デッキレシピは下記より御覧下さい。なお、本レポートは審判の個人的な見解であり、M.I.Wの意見を代弁する物ではございません。BEST16の内訳は以下の通りです。
▼BEST16内訳
・『五つの難題』デッキ:3名
・『目標を取らず、複数のカードに及ぶ効果』を主体としたコントロール:3名
・『業火絢爛』デッキ:2名(優勝者含む)
・『レミリア・スカーレット』ノードロック:1名
・『ナズーリン』コンボ:1名
・『雨の源泉』コントロール:1名
・『紅色の冥界』+『二ッ岩 マミゾウ』リアニメイト:1名
・『ヒノファンタズム』+『ルナティックブラスト』コンボ:1名
・『チルノ』+『弾幕キメラ』ビート:1名
・『夢殿大祀廟』+『プリズムリバー』:1名
・神コントロール:1名
まずはじめに紹介するのは、Best8に3名を送り込んだ「五つの難題」デッキです。「五つの難題」デッキの特徴は、10弾の「蓬莱山 輝夜」を中心に据え、輝夜の能力を限界まで引き出すような構築です。「五つの難題」と輝夜を揃えた時点で強力な除去体制と「警戒」を持つ大型サイズになるのに加え、盤面も彼女の能力で触れる事が可能となる為、彼女を倒すのは困難になります。また、今回上位に残った「五つの難題」デッキでは、「シルフィホルン」+「ミステリウム」のコンボが搭載されていることも見逃せません。「ミステリウム」の連結で「仏の御石の鉢 -砕けぬ意思-」と「蓬莱の弾の枝 -虹色の弾幕-」を除外する事で「戦闘修正:+7/+7」と「隠密」を得る装備となるため、「シルフィホルン」の起動効果と合わせて丁度25点を削る事が可能である事からの採用でしょう。もし輝夜が除去されてしまったとしても、第二の攻撃手段を保持出来る事は非常に攻撃的な選択であると言えます。加えて、このデッキを使用した全てのプレイヤーが「情報戦」を採用している点も非常に興味深い点となっています。デッキタイプとしてはコンボデッキに近い動きをする為、安全な前方確認の可能な情報戦はデッキと非常にマッチしているといえるでしょう。らりるれろさんときゅうりさんのデッキは「孤高の監視者」とあわせて装備対策、並びに手札を攻められる様な構成にしてあるのに対し、スキマ妖怪さんのデッキは「孤高の監視者」のパーツの分を除去やカウンターに割いた形となっています。
次に使用者を優勝へと導いた「業火絢爛」デッキの紹介となります。「業火絢爛」デッキは非常に低ノードの優秀なキャラクターたちを早期に展開をしたうえで、「十王の激怒」や「業火絢爛」でサポートをしていくウィニー系のデッキとなります。10弾環境から存在したデッキですが、依然としてトップメタの一角を守り続ける非常に強力なデッキタイプともいえますね。11弾から加入したカードとしては、「リリカ・プリズムリバー」や「宮古 芳香」が挙げられます。 前者はこちらの攻撃を通したり相手のキャラクターを排除するために優秀な除去として、後者は非常に強力なアタッカーとして採用されている模様です。優勝されたfaiさんのデッキはサイドボードにある「ブロッケンの妖怪」や、メインから投入されている「破壊工作」など随所に個性が見て取れます。 3位のヘイゼルさんがデッキに投入された「法界の火」は相手の思慮の範囲外から飛んでくる一撃として非常に有効な除去となりますね。
次は本大会でも多く見かけた『目標を取らず、複数のカードに及ぶ効果』を主体としたコントロールについて取り上げたいと思います。 9弾からアーキタイプとして確立された『目標を取らず、複数のカードに及ぶ効果』を主体としたコントロールはコントロールデッキユーザーの中にも非常に愛好家の多いデッキタイプとなっています。 盤面を大量の除去で流し、9弾の「永江 衣玖」により相手のドローを抑止してゲームを掌握するという非常に完成された動きをとれるデッキでもあります。 Best16のSoneさんのデッキは11弾から「蘇我 屠自古」を採用し除去能力をさらに強化させた形ですね。冥界に『目標を取らず、複数のカードに及ぶ効果』を持つカードが落とせることからも相性は非常に良いといえるでしょう。同じくBest16の一聴さんのデッキは非常にビートダウン色の濃い構成となっています。除去をあくまで打点を通すためのものとみるとこのようなデッキ構成もすばらしいと言えますね。 ふゆやろうちゃん(14)さんの場合は先ほどとは対照的に、除去に特化して完全にボードを掌握することに重点を置いた形となっています。
以降は使用者が1名しかいないにもかかわらず、見事Best8に入賞されたデッキレシピの紹介をしていこうかと思います。4位のレミリア好きのもっサンさんが使用されたデッキはレミリアロックとなります。所謂ノードロックと言われるデッキなのですが、フィニッシュ手段として1弾の「レミリア・スカーレット」を採用している点がこのデッキの非常に特徴的な点でしょうか。 ご本人の名前の通り、レミリア好きが高じた結果、レミリアの入る最も強いデッキを追求し続け、このデッキに行き着いたのではないかと思われます。 序盤はノードを縛ることで相手の動きを阻害し、中盤以降はそのノード差を生かしてレミリアを展開、そのままカウンターなどでレミリアを守り続けながら殴りきるというコンセプトに仕上がっています。仮にレミリアを除去しても、3体のサーヴァントを除去しない限りライフをあっという間に削りきられてしまうためノードの枯渇した対戦相手はなすすべなく敗北してしまいます。自分の好きなキャラを追求し続けた結果生まれた非常に強力な、加えてキャラクターへの思いを感じるすばらしいデッキといえるでしょう。
Best8の紅葉真一さんが使用されたデッキは紅色マミゾウリアニメイトです。「ヤンシャオグイ」などのリアニメイト要素を用いて大型を釣り上げるのがコンセプトとなっていますが、その中でも「二ッ岩 マミゾウ」が非常に特徴的なレシピとなっています。 「二ッ岩 マミゾウ」の変身後である霊夢の常時効果を使用することで、「紅色の冥界」や「大将棋」の維持コストを無視したり、相手の強力なキャラクターもテキストを消してしまうことで無力化する動きが可能となります。 デッキ内の除去の枚数は少ないものの、毎ターン大型が吊り上げられ、数が増えていく様を見ればそういった除去も不要なのではないのでしょうか。 大型を数多く使用したデッキとなっているので、自分好みの大型を入れることでデッキに派生ができるため、今後の研究に期待をしたいところですね。
Best8最後の紹介は、10弾の「ナズーリン」を使用した非常に独創的なコンボデッキとなります。 デッキの大半がドローソースと装備品で固められ、デッキをとにかく掘り進める構造となっています。 デッキの動きとしては、 デッキを掘り進め「ナズーリン」と「伊吹 萃香」を場に出した状態を作り出す→「新兵器開発」で冥界の装備を大量にデッキに戻し、山札内の装備カードの密度を濃くする →「伊吹 萃香」に装備をセットし、「ナズーリン」の効果でドロー →「伊吹 萃香」の効果で装備をキャラクター化し、さらに装備をセット、「ナズーリン」でドロー →最終的にちび萃香を大量生成し、数で押し込む というのが理想の動きでしょうか。 「ナズーリンロッド」、「ヤンシャオグイ」を使用することでコンボに足りないカードを回収することも考えられており、コンボデッキ特有のパーツを引けないといった症状もケアされていますね。 デッキの動きが大変面白いので、是非とも一度触ってみることをお勧めいたします。
最後となりましたが、Best16におけるカードの採用率についての情報を記載して、今回のレポを終わろうかと思います。
▼キャラクターカード採用枚数ランキング
1位:リリカ・プリズムリバー(11弾) 計19枚
2位:秋 穣子(11弾) 計12枚
3位:永江 衣玖(9弾) 計11枚
4位:秋 静葉(7弾) 計10枚
5位:蓬莱山 輝夜(10弾) 計9枚
6位:くるみ 計8枚
6位:チルノ(11弾) 計8枚
6位:宮古 芳香(11弾) 計8枚
6位:鍵山 雛(11弾) 計8枚
10位:博麗 霊夢(9弾) 計7枚
除去として非常に有用なリリカが1位となり、以下ノード基盤を支える秋姉妹や、ぐるぐるデッキの代表と言える衣玖などがランクインしていますね。
▼スペルカード採用枚数ランキング
1位:禁弾「カタディオプトリック」19枚
2位:新史「新幻想史 -ネクストヒストリー-」17枚
3位:騒符「リリカ・ソロライブ」16枚
4位:禁忌「フォービドゥンフルーツ」15枚
5位:鬼声「壊滅の咆哮」12枚
6位:木符「シルフィホルン」8枚
6位:秋符「フォーリンブラスト」8枚
6位:新難題「ミステリウム」8枚
9位:闇符「ディマーケーション」7枚
9位:龍魚「竜宮の使い遊泳弾」7枚
万能対策になりうるカタディが僅差で1位を獲得といった形となりました。
▼コマンドカード採用枚数ランキング
1位:マナの生成 44枚
2位:強引な取引 31枚
3位:作戦阻止 28枚
4位:是非曲直庁の威令 26枚
4位:香霖堂 26枚
6位:破壊工作 25枚
7位:緑眼のジェラシー 20枚
8位:紅葉狩り 18枚
8位:無縁塚 18枚
8位:十王の激怒 18枚
コマンドカードはマナの生成と強引な取引、作戦阻止の1弾のカードがBest3を占めることになりました。 未だに初期のころに出た強力なカードは健在といった感じですね。
文責:くろ |