本選のレポートでは、見事BEST8に輝いた8名のデッキを見つつ、ジャッジの観点より環境の解説をしていきたいと思います。まず初めに、3〜4月段階での環境についての話をしていこうと思います。
店舗、及び個人主催の大会で本選の権利を勝ち得たデッキの中心は、『待宵反射衛星斬』を中心とした高速ビートダウンでした。このアーキタイプはスペルブレイクルールの改正に伴い『魂魄 妖夢』がデッキに6枚積める様になった事からデッキの安定度が格段に向上し、使用者が増加傾向にありました。この妖夢デッキから派生し、『五つの難題』+『待宵反射衛星斬』を組み合わせた、通称「難題衛星斬」デッキは『蓬莱山 輝夜』による堅牢なビートダウン+最速2ターン目の『魂魄 妖夢』によるワンショットギミックという軸の違う2つの攻め方を有したデッキであり、これらの攻めを捌き切るのが如何に困難だったかという事が3〜4月時点での入賞結果から伺えます。しかし、本選の上位の結果は大まかに以下の通りとなっています。
1位:『地獄』デッキ
2位:『五つの難題』デッキ
3位:『業火絢爛』デッキ
4位:『業火絢爛』デッキ
5位:『業火絢爛』デッキ
6位:『リグル・ナイトバグ』速攻
7位:妖精デッキ
8位:除外コントロール
『待宵反射衛星斬』、及び『魂魄 妖夢』の採用枚数は0枚です。本選での使用者はいたものの、上位には1人も残る事が出来ませんでした。あれだけ結果を残したデッキがどのような形で駆逐されたのか、本選上位プレイヤーはどの様なデッキ選択により結果を残したのか、その点についてお話していこうと思います。
最も目を引くのが3〜5位に入賞した『業火絢爛』デッキです。レシピは一部異なる点もありますが、『レティ・ホワイトロック』や『鳳凰卵』の採用といった点は共通しており、「相手の動けるノード帯になる前に決着をつける」という思想が伝わってきます。『レティ・ホワイトロック』や『鳳凰卵』によりノードを枯渇させ、相手の動くノード圏内に移行する前にライフを詰め、『業火絢爛』で蓋をする事で多くのデッキは身動きがとれないままライフを削り取られてしまいます。前述の『魂魄 妖夢』を主軸としたデッキはノード4以上で本領を発揮する為、ノード4への到達を許さず、最序盤で決着をつける事は最大の対策となります。
同様に6位の『リグル・ナイトバグ』速攻もデッキの構成は異なるものの、『レティ・ホワイトロック』や『鳳凰卵』によりノードを枯渇させ、その合間にグレイズ0の軍団で殴り切るという戦略をとっており、多くの結果を残したプレイヤーが中速のデッキを強く意識してデッキを構築した事が伺えます。
7位の妖精デッキはマナ加速部分から『レティ・ホワイトロック』に引っ掛かる要素を外しながらも『飛倉の破片』等で安定したノード加速を実現しており、『ゾンビごっこ』を絡める事で最速2ターン目に『ルナチャイルド』の攻撃を通して『リリーブラック』のハンデスに繋げる等、攻めの手を崩さぬまま押しきれる構成になっています。また『作戦阻止』や『ディゾルブスペル』、『紫色を超える光』など幅広く使える妨害カードも搭載しており、盤面を守りつつ相手の先行を阻害するデッキに仕上がっています。
この様な序盤の展開力を重視し早急に決着を付ける事で、相手の土俵で勝負をしない構成にした方々とは異なり、他の上位入賞者はより多くの妨害カードを入れる事で結果を残しています。
8位の除外コントロールは『藤原 妹紅』と『八雲 藍』による除外ギミックを搭載し、中盤以降に強いデッキ構成にしながらも、『鍵山 雛』、『山童』、『紫色を超える光』、『緑眼のジェラシー』など数多くの妨害カードを組み込んでいます。特に『鍵山 雛』は戦闘修正を与えて戦う妖夢デッキに対して1枚で大幅な牽制ができるカードであり、マナチャージを用いて高ノード帯に繋げるデッキであれば環境に合致した素晴らしい1枚と言えるでしょう。
2位の『五つの難題』デッキは『蓬莱山 輝夜』と『五つの難題』を主軸に盤面を固めて殴り切るデッキに、戦闘修正に対して強い『八坂 神奈子』、『西行寺 幽々子』を加えてそれらを踏み倒して出す『聖尼公のエア巻物』、『死霊の復活』を採用する事で、最序盤に展開されても1枚で盤面をひっくり返し、固める事が出来る様になっています。序盤の加速は『マナの生成』、『霞網』と『レティ・ホワイトロック』に引っ掛かってしまう要素が多く、3〜6位に入賞したデッキとの相性はあまり良くないかもしれませんが、デッキパワーが非常に高いので多少の相性差を無視して勝利を収める事も出来そうです。
そして1位の『地獄』デッキですが、『紫色を超える光』3枚と『地獄』3枚による1ノードからの冥界利用、カードサーチに対応可能であり、『キクリ』によって相手の除去や火力を封殺、盤面は『霊烏路 空』+『金伽羅』の除去等、妨害要素に強く特化しています。それだけではなく、『龍神』3枚を投入する事で急襲も出来る構成になっています。『働かない式神』によって『殺人ドール』を破棄して除去を行ったり、デッキを掘る要素を多くする等によりデッキの安定度が高くなっているのも素晴らしいですね。優勝に相応しいデッキと言えるかと思います。
以上が上位8名のデッキとなります。何れも強い個性の中に多くの戦略が組み込まれたデッキで、上位入賞も納得の構成ばかりです。今回の結果によりメタゲームが動き、より多くのプレイヤーがデッキ構築に頭を悩ませ、それ以上に大会で結果を残して喜びを得る環境になることを願いつつ、今回のレポを終えさせて頂きます。
文責:くろ、kei |