CareleSmithひとみ
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基本となる遊び方と用語
How to Play Card Games

トランプなどのカードゲームを遊ぶ上で、知っておくべき基本の遊び方と用語について解説します。 トランプゲーム大全(2014、スモール出版、赤桐裕二著)や、 林虎雄氏のカードゲームルール集、 他に多くの書籍、ウェブサイトを参考にしています。

カードゲームの遊び方を説明するときには、「ディール(deal)」だとか 「ビッド(bid)」といったカタカナ語が多く出てきます。 これらの言葉は普通の人にとってはなかなか馴染みの薄いものですが、 英語では特別カードゲームのときにだけ使う言葉ではなく、 日常生活でも使うような言葉ばかりです。 もし、ここにある説明を読んでも理解し難い言葉があるならば、 ぜひ英語の辞書を繰ってみてください。 用語の意味が素直に理解できるようになるはずです。

カード

ゲームで使われるカードの集まりのことを、デッキ(deck)とか、 パック(pack)と言います。

次に、個々のカードについて見ていきましょう。 例えば、トランプのカードを例にとると、ジョーカーを除く全てのカードは、 の4つのマークで分類されます。 こういった分類のことをスート(suits)と言います。

また、各スートのカードは、A 2 3などの数字や文字などによって区別されています。 この数字や文字などをランク(rank)と言います。 ランクという言葉は、カードの強さを指すこともあるので、文脈に応じて判断してください。

例えば、Jのカードは、スートが(ハート)であって、 ランクはJ(ジャック)になります。 また、「同じランクのカード」と言われれれば、例えば3 3 3 3などとなります。

なお、カードに書かれたマークで分類されるスートと異なるスートで遊ぶことがあります。 例えば、のカードと、Aを、 全て「切札」というスートとして扱うことがあります。 こういったときは、もはやAのスートではなく、 切札のスートに属します。 こういった意味で、マークとスートは区別されるべきものです。

チップ(counter)

ゲームによっては、得点の計算のために小さい板のような小道具を使うことがあります。 それはカウンター(counter)トークン(token)などと呼ばれます。 このサイトでは、主にチップという言葉を使うことにします。 現代で最も一般的なのは、ポーカーチップ(poker chip)でしょう。 ポーカーチップのことは、単にチップ(chip)ということがあります。 チップの詳細については、こちらのページを参照してください。

チップを使うゲームでは、あらかじめ全員に同じ点数だけのチップを配りましょう。

また、参加料として、ディール (後述)が始まる前に一定額のチップを支払うゲームがあります。 この参加料のことをアンティ(ante)と言います。 アンティはテーブルの決められたところや、テーブルに置かれた皿に入れますが、その入れる場所のことは、 ポット(pot)とか、 プール(pool)と呼ばれます。 ポット(もしくはプール)には、アンティだけではなく、ゲーム中にもチップが追加されることがあります。

ディーラー(dealer)

カードを配ることをディール(deal)と言い、 配る人のことをディーラー(dealer)と言います。

ゲームを始める前に、あらかじめディーラーを決める必要があります。 ディーラーを決めるときは、なるべく抽選方式で決めるのが良いでしょう。 指名方式や立候補方式でディーラーを決めてはならないとは思いませんが、 特に、いつも遊んでいるメンバーではない人がゲームに参加するときは、やはり抽選方式にするべきでしょう。

ディーラーを決める方法は幾つかあります。 じゃんけんで決めても構わないでしょう。 中には、ゲームのルールで規定されているものもあります。 ゲームのルールで規定されているディーラーの決め方に必ず従わなければならないとは考えませんが、 ゲームをする全員から、あらかじめ同意を得ているべきです。 逆に言えば、全員から同意を得ていればどのようにディーラーを決めてもいいでしょう。

ディーラーの決め方で一般的な、ドロー(draw)と呼ばれる方法を紹介します。 カードを混ぜた後、カードを少しずつずらしながら一列に並べます。 リボンスプレッド(ribbon spread)と呼ばれる、 よくカードマジックでやるものを思い浮かべてもらえれば良いです。 (必ずしもマジシャンのように、綺麗に広げることができなくてもいいです。) そしてゲームに参加する人がそこから各々カードを1枚づつ抜き出します。 両端の数枚を抜き出すのは、マナーに反すると言われます。 抜き出したカードの中で、最も強いカードを引いた人がディーラになります。 最も弱いカードを引いた人としてもいいです。

もしくはカット(cut)と呼ばれる方法もあります。 カードを引く代わりに、よくシャッフルされたカードの束を二つに分け、 上側になった束の、一番下のカードを比べるのです。 この時も、片方の束がおおよそ3枚以下になるように分けるのはマナーに反するとされます。

ドローでもカットでも、カードの強さを比べる時は、そのゲームで使っているランクの順に従いましょう。 特に決められていなかったり、ゲームで使われるランクを使いたくない時は、強いものから順に A K Q J 10 9 8 7 6 5 4 3 2 とすれば良いでしょう。 同じランクのカードを引いた人がいれば引き直しになりますが、 あらかじめスートに強さの順を決めておけば引き直しを避けることができます。 例えば、同じランクのカードでは強いものから順に とするなどです。

続けてゲームを行う時は、ディーラーは時計回りの順に交代することが多いです。 ただ、反時計回りの順でゲームが進むものでは、ディーラーも反時計回りに交代します。 また、時計回りの順ではなく、前回勝った人や負けた人がディーラーをやったり、 常に同じ人がディーラーを務めたりすることもあります。 ゲームで特に定められていなければ、あらかじめ決めておくことが望ましいでしょう。

席決め

特に何もなければ、自然に座った順でゲームを始めれば良いでしょう。 しかし、席順をランダムで決めたい時は、ディーラーを決めるときにドローまたはカットしたカードのランクの順に座りましょう。 ディーラーが好きな席に座って、そこから時計回りの順に、引いたカードのランクの順で座ります。 プレイの順が反時計回りのゲームでは、席順も反時計回りに決めます。

シャッフルとカット

カードを良く混ぜることをシャッフル(shuffle)と言います。 カードの束を二つに分けて、上下を入れ替えるカット(cut)とは明確に区別してください。 ただし、限られた時間で数十枚、場合によっては100枚を越すカードの並びを完全にランダムにするのは不可能です。 つまり、シャッフルをすることの主眼は、ゲームに参加するどの人も、どのカードがどこにあるかわからなくすることです。

したがって、シャッフルは、個々人の好きなようにやって構いませんが、 どのような手法を以てシャッフルをするにしても、カードの表が見えないようにすることと、 自分を含めた全員が、どのカードがどこに行ったのか分からないようにしなければなりません。

シャッフルの方法については、いろいろありますので、詳しくはここで紹介しませんが、 Wikipediaの記事などを参照してください。

シャッフルは、普通ディーラーが行います。 もしくは、「全てのプレイヤーがシャッフルをする権利を有するが、最後にシャッフルするのはディーラーである」という考え方もあります。 どう考えるかは人それぞれですが、ゲーム中に軋轢が起きないように、ディーラー以外がシャッフルできるようにするならば、 あらかじめ全てのプレイヤーに承認してもらった方がいいでしょう。

ディーラーがシャッフルをした後に、ディーラーの不正を防ぐために、 また、シャッフルした時に一番下のカードが見えてしまった人がいることを想定して、 カットをすることがあります。 先ほど説明したように、カードの束を二つに分け、上下を入れ替えるものです。 カードを二つの束に分ける時に、どちらかが4,5枚になるように分けるのはマナー違反とされます。 カットをするのは、ディーラーでなければ誰でもいいのですが、ディーラーの右隣の人がやることが多いです。 ただし、反時計回りにプレイするゲームでは、左隣の人がカットすることが多いです。 また、イカサマをしていないという紳士協定に基づいて、カットをしないことも多いです。 カットをしたくないのに、カットを求められた場合は、指を立てた手でカードの束を軽く叩くことで、カットをしたことにできます。

時間短縮のために、カードを2組使い、 ディーラーが配っている間に直前に使ったカードをシャッフルするのもよく行われています。

ディール(deal)

カードを配ることをディール(deal)と言います。 カードを配るのはディーラーです。 ディーラーは、自分の次にプレイする人から順に、プレイの進行方向と同じ向きに、1枚ずつ配ります。 すなわち、配るカードの枚数がそれぞれのプレイヤーで等しい時は、ディーラーが最後に配るカードは自分自身に配ります。 ディーラーで配り終わりにならないと、ゲームが成り立たなくなることがあるので、注意してください。 また、何枚かまとめて配るように指示しているゲームも多いので、その時はそれに従ってください。

ここで、各プレイヤーに配られて、手に持ってプレイするカードのことを、 手札(hand)と言います。 手札の表は、自分以外に見えないように注意しましょう。 また、誰から見ても枚数がわかるように持ちましょう。 また、すべての手札が配り終わらないうちに、手に取るのはマナーに反するとされます。

配り残ったカードがあって、それをゲームでまだ使うのであれば、それを山札と言います。 山札の呼び方は、ストック(stock)、パイル(pile)、 タロン(talon)、ウィドウ(widow)、 スカート(skat)など、様々あります。

ゲームによっては、表向きのカードを何枚か配ることがあります。 これを場札と呼び、カードが置かれるテーブルのことを、と言います。

また、配られた手札によるプレイが終了するまでのこともディールと言います。 カードを配ることもディールと呼びますが、これとは文脈で区別してください。

ゲーム(game)

多くのゲームでは、ディールを何回か繰り返して勝負を決めます。 この、勝負が決まるまでのディールの繰り返しをゲーム(game)と言います。

また、ゲームを何回か繰り返すとき、ゲームの繰り返しのことをラバー(rubber)と言います。

ビッド(bid)

ゲームによっては、カードを配ってから、ビッド(bid)を行うことがあります。 ビッドには大きく分けて2種類あって、それはすなわち、ポーカーでやるような賭け金の宣言と、 トリックテイキングゲームでやるような、特権を得るために、自分の目標などを宣言してゆくことです。 ここでは後者について説明することにして、前者はこちらのページを参照してください。 前者はベット(bet)と呼ばれることもあります。

そもそもビッドとは競りという意味であり、他の誰よりも強い宣言をすることで、 ビッドに勝つことができ、得点をすることができたり、切札を決めることができたりという特権を得ます。 なお、ビッドで行う宣言のことも、ビッドと言います。

ビッドの方法は多種多様であるため、ここで一概に説明することはできませんので、 大凡のビッドを行うゲームで共通する手順を説明します。 オーヘルのビッドのように、ここに説明するものとは大きく違うビッドの手順もあるので、 詳しくはそれぞれのゲームの説明のページを参照してください。

ビッドは、決められた人から順に行います。 一人一回しかビッドができない時と、何回でもビッドが出来る時とがあります。 まず、ビッドで宣言できるものは、あらかじめ決まっていて、大体の場合はこのディールでの目標や、 このディールでプレイしたいゲームの種類(コントラクト)などです。 ビッドをしたくない時はパスと宣言します。 そして、ビッドには強さの順があって、誰かがビッドをしたら、それよりも強いビッドかパスしかできません。 最終的に一番強いビッドをした人がビッドに勝ったことになります。

ビッドに勝った人は、切札を決める人という意味で、デクレアラー(declarer)だとか、 一人で他のプレイヤー全員と戦うという意味で、ソロイスト(soloist)とかと呼ばれます。