タップタロック
Tapp-Tarock

CareleSmithひとみ
作成 更新

ゲームファームpagat.comhttp://web.archive.org/web/20070514081801/http://www.webit.at/bk/tarock.htmlを参考にしています。

タロットカードを使ったゲームはイタリアで生まれ、 その後ドイツやオーストリアへ広まりました。その過程において、カードの枚数は78枚から54枚に減り、 愚者Oのカードの役割も単純化されました。

ここで紹介するタップタロックは、少ないカードの枚数でプレイされ、Oの役割も単純化された 「新しい」タイプのタロットの遊び方の中では初期のもので、1800年頃からプレイされています。 それからルールの変革はあったものの、それほど複雑化することもなく、現在までオーストリアで続いています。

しかし、2010年ごろにはあまり遊ばれなくなったようです。タップタロックは3人用のゲームですが、 ケーニヒスルーフェン(Königsrufen)や ツヴァンツィゲルーフェン(Zwanzigerrufen)やといったゲームの方がより一般的であるようです。

ゲームファームでは、初心者にもお勧めできるゲームとして紹介されています。

なお、現地では愚者Oはスキュース(Sküs)、 切札XXIはモンド(Mond)Iはパガット(Pagat)と呼ばれます。 そして、この3枚をまとめてトルル(Trull)と言います。 そして、切札のことはタロック(Tarock)と呼ばれます。

ルール早見

使うカードと遊ぶ人数

3人で遊びます。

使うカードは、54枚のオーストリアパックと呼ばれるタロットカードです。 通常の78枚のタロットカードからカードを何枚か抜くことで代用できます。 6A510を除くことによって代用します。

愚者Oが最強の切札になること以外は、カードの強さは通常のタロットに準じます。すなわち、

  • 切札は強いものから順に、O XXI XX XIX …… II Iとなります。
  • は、強いものから順に、 K Q C J 10 9 8 7となります。
  • は、強いものから順に、 K Q C J 1 2 3 4となります。

それぞれのカードには点数がついています。 全ての合計は70点になり、プレイでは36点以上を取ることが目的になります。 カードの点数はこのようになっています。

切札O XXI I K Q C J
5点 5点 4点 3点 2点 0点

さらに、トリックテイキングのプレイでとったカードを3枚セットにして、 それぞれのセットにつき、次のように点数を修正します。 どのようにセットを作っても、得点の結果は変わりません。

点数のあるカード点数のないカード点数の修正
3枚0枚-2点
2枚1枚-1点
1枚2枚±0点
0枚3枚+1点

ゲームの流れ

このゲームは次のような流れでゲームが進行します。 なおゲームの進行はすべて反時計回りです。

  1. ディーラーがカードを配る。
  2. ビッドによってプレイの種類とデクレアラーを決める。 デクレアラーにならなかった2人は協力してデクレアラーと戦うことになる。
  3. デクレアラーは配り残りと手札の交換をする。
  4. 宣言をすることができる。 宣言をして、その宣言に成功することで、得点が増える。
  5. 手札に役ができていないかを確認して、実際のプレイを始める。

ディール

最初のディーラーは、カードをカットして最も強い切り札を引いた人が務めます。 誰も切り札を引かないときは引き直します。 次回からは反時計回りの順番で交代します。

ディーラーはカードをシャッフルして、右隣の人がそれをカットします。 ディーラーはテーブルの中央に3枚組を2組、裏向きで配ります。 そして、それぞれのプレイヤーに8枚ずつ2回配ります。 全員の手札は16枚になります。中央に配った6枚のことをタロンと言います。

ビッド

配り終わったらビッドを行います。 ビッドによってプレイの種類とデクレアラーを決め、 デクレアラーは36点以上を取ることを目的としてプレイをします。 デクレアラーにならなかった2人(ディフェンダーと言います)は、2人で協力してそれを阻止することが目的です。

ビッド(プレイの種類)には以下の4種類があります。弱いものから順にあげます。

ドライアー(Dreier)
ウンテラー(Unterer)
オーベラー(Oberer)
いずれのビッドでデクレアラーになっても、タロンと手札を交換することができます。 3つのビッドには、得点の違いしかなく、 オーベラーの方がより高い得点を得ることができます (逆にプレイに失敗するとより多くの失点となります)。
ソロ(Solo)
手札とタロンを交換することができません。

ビッドはディーラーの右隣から反時計回りの順で行います。 ビッドは以下の要領で行います。

  1. ビッドで宣言できるのは、4種のビッドのうちのひとつか、パスか、 ホールド(Ich halte)のいずれかです。
  2. 今までにパス以外のビッドがあった場合は、それより強いビッドしかできません。
  3. パスの宣言をすると、そのビッドには再び参加することができなくなります。
  4. ホールドとは、今までにあったビッドの中で最も強いビッドと同じビッドをするということです。 ビッドでは、ビッドの順番が早い人(席次が上の人)に優先権があるので、 同じビッドでも、席次が上の人がビッドしたビッドの方が強くなります。 例えば、ディーラー(席次3番)がウンテラーのビッドをしたのに対し、 ディーラーの右隣(席次1番)は「ホールド」ということができます。
  5. パスとソロのビッドはいつでも宣言できますが、 それ以外のビッド(ホールドを含む)をするときは可能な限り低いビッドをしなければなりません。 例えば、最初にパス以外のビッドをする人は、ソロかドライアーの宣言しかできませんし、 ウンテラーのビッドがなされていれば、それに対して席次が低い人はオーベラーかソロ、 席次が高い人はホールドかソロのビッドしかできません。
  6. ビッドは、1人を除いた他の2人がパスをすると終わります。 (パスをしていない人の中で、最も席次が高い人がソロのビッドをした場合も、 他の人はそれより強いビッドができないので、ビッドは終了します) パスをしなかった人がデクレアラーとなり、 その人が最後に宣言したビッドがこのディールのゲームの種類となります。
  7. もし、3人全員がパスをした場合は、ディーラーを変えて配り直しをします。

手札の交換

ソロ以外のゲーム(ドライアー、ウンテラー、オーベラー)となったら、 デクレアラーはタロンのカードと手札を交換することができます。

デクレアラーはまず6枚のタロンを全て表にし、全員に見えるようにします。 そして、表にした3枚の組2つのうち、好きな方を手札に加えます。 手札に加えなかった方の3枚のカードはプレイでは使われませんが、 得点計算をするときにディフェンダーがとったものとして扱われます。

手札に加えたら、デクレアラーは3枚のカードを裏向きに捨て札にします。 このカードはプレイでは使われませんが、得点計算をするときにはデクレアラーがとったものとして扱います。 捨て札には以下の制限があります。

  • K、切札OXXIIは捨ててはいけません。
  • 可能な限り、切札は捨ててはいけません。 もし捨てる場合は、それを公開して捨てます。

ソロのゲームとなった場合は、誰もタロンのカードの表を確認しません。 そして、タロンのカード6枚全てはディフェンダーがとったものとして扱われます。

手役

手札のカードに役(手役)ができていると、ボーナスとして得点を得ることができます。 手札の役は、デクレアラー、ディフェンダー関わらず、個人の得点になります。 プレイの前では、手役があるかを確認するだけで、手役はプレイが終わってから公表します。 タロンから加えたカードを含めてて役が完成していても構いません。

手役には次の3つがあります。

トルルの3枚
O I XXIの3枚が手札にある
トルルの2枚
O I XXIのうち2枚が手札にある。
キング4枚
Kが4枚手札にある

キング4枚はトルルの2枚、3枚と重複可能ですが、 トルルの2枚とトルルの3枚は重複しません。

宣言(予告)

次に宣言(プレイでの目標の予告)をすることができます(Boni)。 宣言には以下のものがあります。

パガットウルティモ(Pagat Ultimo)の予告
最後のトリックに切札のIを出して勝つことの予告です。 デクレアラーだけができます。
バラット(Valat)の予告
全トリックを取ることの予告です。 デクレアラーだけができます。
コントラ(Kontra)
ディフェンダーができる宣言です。 デクレアラーがプレイに成功しない (プレイで36点取れない、またはバラットの予告をしたが全トリックとれない) と思うときに宣言します。 コントラの宣言があれば、このディールでの得失点が2倍になります。 また、コントラの宣言があれば、デクレアラーはそれに対してレコントラ (Rekontra)の宣言(得失点を4倍にする)をすることができ、 ディフェンダーはそれに対してさらにスブコントラ(Subkontra) の宣言(得失点を8倍にする)をすることができます。
パガットウルティモに対するコントラ
ディフェンダーはパガットウルティモの予告に対してもコントラの宣言をすることができます。 パガットウルティモの予告による得失点を2倍にする宣言です。 この時は「パガットウルティモに対するコントラ」と宣言します。通常のコントラとは別物です。 パガットウルティモに対するコントラも、リコントラ、スブコントラと続けていくことができます。

宣言は次の順序で行います。

  1. デクレアラーはパガットウルティモの予告、およびバラットの予告ができる。
  2. ディフェンダーは反時計回りに、コントラの宣言、 および(デクレアラーがパガットウルティモの予告をしていた場合は) パガットウルティモに対するコントラができる。
  3. デクレアラーは、コントラに対してリコントラ、 パガットウルティモに対するコントラに対してリコントラができる。
  4. ディフェンダーはリコントラに対してスブコントラを宣言できる。

プレイ

宣言まで一通り終わったら、 トリックテイキングゲームのプレイが開始されます。 オープニングリードはディーラーの右隣の人からです。 デクレアラーからではないので注意してください。

トリックテイキングゲームのプレイでは、リードのスートをフォローする義務があります。 また、フォローできない時は、手札に切札があれば必ず切札を出さなければなりません。 リードのスートが手札になく、さらに手札に切札もない時は好きなカードを出しても構いません。

デクレアラーがパガットウルティモの予告をした場合は、 デクレアラーはIを最後のトリックまでプレイしてはいけません。 しかし、ルール上出さざるを得ない場合、 すなわちルール上切札を出さなければならないときに、 手札には切札がIしかなかった場合はこの限りではありません。

なお、パガットウルティモの予告がなくても、最後のトリックにIを出すことで、 パガットウルティモに挑戦したとみなされます(本人にその意図がなくてもです)。 これはディフェンダー側に対しても同様です。

得点

16トリックのプレイが終わったら得点計算です。 プレイで得られるゲームの得点をゲームポイントと呼び、GPと略することにします。 カードの得点とは別物なので注意してください。

まず、デクレアラーがプレイに成功しているかを判定します。 デクレアラーはトリックテイキングのプレイで取ったカードと、 プレイの前に捨て札にした3枚のカード(ソロのプレイの時はありません)の合計の点数を計算します。 ディフェンダー側も検算のためにとった点数の合計を計算した方が良いでしょう、 なお、デクレアラーが取らなかったタロンはディフェンダーがとったカードとして扱われます。

カードの点数は次のようになっています(再掲) 。

切札O XXI I K Q C J
5点 5点 4点 3点 2点 0点

さらに、とったカードを3枚セットにして、 それぞれのセットにつき、次のように点数を修正します。 どのようにセットを作っても、得点の結果は変わりません。

点数のあるカード点数のないカード点数の修正
3枚0枚-2点
2枚1枚-1点
1枚2枚±0点
0枚3枚+1点

すべての点数の合計は70点になります。 デクレアラーが36点以上取ることに成功していたらプレイに成功した扱いとなり、 デクレアラーが35点以下しかとっていなければプレイし失敗したこととなります。 しかし、デクレアラーがバラットの予告をして失敗した場合(1トリックでもディフェンダーがとった場合)、 デクレアラーのとった点数にかかわらずプレイ失敗となります。

基本点

以下の点数は、デクレアラーがプレイに成功した場合、デクレアラーだけが得点します。 デクレアラーが失敗した場合は、デクレアラーは得点がなく、ディフェンダーの2人が得点します。

まず、プレイの種類によって、以下の基本点があります。

ゲームの種類による基本点
ドライアーウンテラーオーベラーソロ
3GP4GP5GP8GP

この基本点は、コントラなどの宣言によって倍率がかかります。

コントラによる倍率
コントラリコントラスブコントラ
2倍4倍8倍

さらに、バラット(全トリックとること)が発生した場合、以下の倍率がかかります。

バラットによる倍率
予告せず失敗 予告せず成功 予告して成功 予告して失敗
1倍 4倍 8倍 8倍

※ バラットを予告して失敗した場合は、デクレアラーには一切の得点がなく、 ディフェンダー2人の得点になります。

パガットウルティモによるボーナス

パガットウルティモによるボーナスは以下の場合に発生します。

  • パガットウルティモの予告をデクレアラーが宣言した。
  • 誰の手札からでもいいので、最後のトリックに切札のIが出た。

以下の場合はパガットウルティモによるボーナスは発生しません。

  • 最後のトリックに切札のIが出されなかった。
  • ディフェンダーのうちの1人が、最後のトリックにIを出したが、 もう1人のディフェンダーがそのトリックをとった。

パガットウルティモに成功したかどうかは、次のように判定されます。

  1. 次の場合はデクレアラーの成功です。
    • デクレアラーが最後のトリックにIを出して勝った。
  2. 次の場合はデクレアラーの失敗です。
    • デクレアラーが最後のトリックにIを出したが、 そのトリックに負けた。
    • デクレアラーがパガットウルティモの予告をしたが、 最後のトリックにIを出すことができなかった。
  3. 次の場合はディフェンダーの成功です。
    • ディフェンダーの1人が最後のトリックにIを出し、 その人が最後のトリックに勝った。
  4. 次の場合は、ディフェンダーの失敗です。
    • ディフェンダーの1人が最後のトリックにIを出したが、 そのトリックはデクレアラーが勝った。

パガットウルティモによるボーナスは、 パガットウルティモをデクレアラーが成功させた場合、 またはディフェンダーが失敗した場合は デクレアラーが(プレイの成否とは別に)獲得します。 ディフェンダーが成功させた場合、 またはデクレアラーが失敗した場合は ディフェンダー2人ともが同じだけ得点します。

パガットウルティモによるボーナスの基本点は次の通りです。

パガットウルティモのボーナス
ソロ以外の場合ソロの場合
4GP8GP

予告の宣言があった場合、次の倍率がかかります。

予告による倍率
デクレアラーが予告をした
2倍

パガットウルティモに対するコントラなどがあれば、さらに以下の倍率がかかります。

コントラによる倍率
コントラリコントラスブコントラ
2倍4倍8倍

パガットウルティモのボーナス点は、通常の(プレイに対する)コントラの倍率の影響は受けず、 また、パガットウルティモに対するコントラは、パガットウルティモのボーナス点以外には倍率をかけません。

パガットウルティモのボーナスが発生した場合、 基本点に以上の倍率をかけた点数を、然るべき人が得点します。

手役のボーナス

手役によって、以下のボーナスが発生します。 これは、(ディフェンダー側であっても)個人で得点します。 コントラなどによる倍率の影響は受けません。

手役ボーナス
トルル3枚 トルル2枚 キング4枚
3GP 1GP 3GP

計算例

揺波さん、細音さん、千影さんの3人でプレイし、 以下のような結果になったとします。

  • 揺波がデクレアラーとなって、ウンテラーのゲームとなった。
  • 揺波はバラットの予告も、パガットウルティモの予告もなし。
  • 千影はコントラを宣言して、それに対して揺波がレコントラ。
  • プレイをして、最後のトリックに細音がIを出して、 そのトリックに勝つ。
  • プレイの結果、揺波が39点獲得。(この39点はカードの得点です)
  • 揺波は手札にOXXIを持っていた。

まず、プレイの成否による得点から計算します。 今回は揺波が36点以上取っているので、プレイに成功していますから、 プレイの基本点は揺波が獲得します。 ウンテラーのゲームの基本点4GPに、レコントラの倍率4倍を掛け合わせて、 16GPを揺波が獲得します。

次にパガットウルティモによるボーナスを計算します。 細音がパガットウルティモを成功させたので、 ディフェンダーである細音と千影にパガットウルティモによるボーナスが入ります。 今回はソロではないゲームであって、特にパガットウルティモに対するコントラもなかったので、 そのまま基本点4GPを細音と千影が獲得します。

そして手役のボーナスですが、 揺波がトルルの2枚を達成しているので、1GP獲得します。

以上、全てを合計して、 揺波は17GP、細音と千影はそれぞれ4GPを獲得します。

ゲーム

ゲームを終了するタイミングは特に決まっていません。 ディールの回数を決めてもいいですし、ターゲットスコア(目標点数)を設定してもいいでしょう。

ゲームが終わって精算をするならば、それぞれのプレイヤーの間で差額を精算することになります。