TeX のインストール

人見祥磨
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ここでは、TeX を自分の使っているパソコンにインストールするお話をします。

TeX Live とはなにか

TeX とはなにか、TeX Live とはなにかという話については、 最大限 TeX 入門を見てください。

最新の TeX Live を Linux にインストールする

最新の TeX Live を入手する方法は、 TeX Wiki に詳しくまとめてあります。そちらを参考にしてください。

まず、最新のインストラーをダウンロードします。

% wget http://mirror.ctan.org/systems/texlive/tlnet/install-tl-unx.tar.gz

次に、ダウンロードしたインストラーを解凍し、sudo 権限で実行します。

% tar xvf install-tl-unx.tar.gz
% cd install-tl*
% sudo ./install-tl -no-gui -repository http://mirror.ctan.org/systems/texlive/tlnet/

なお、インストーラは Perl を利用しています。 Perl がシステムに入っていない場合にはエラーが発生するので、 エラーが発生した場合は sudo apt install perl などとして Perl をインストールしてから再び試してみてください。

An old installation of TeX Live has been found... などと言われた場合は n で拒否します。Enter command と言われたら I と入力してインストール開始です。 ネットワーク経由で必要なファイルがダウンロードされ、インストールが進みます。

最後にパスを通してインストール完了です。 パスを通すとは、インストールしたコマンドをシェルが見つけることができるようにする作業です。 以下はパスの通し方の例です。パスの通し方は、環境によって異なるので、 各自調べてください。 20XX の部分は適宜変えてください。

$ echo 'export PATH=$PATH:/usr/local/texlive/20XX/bin/*/' >> ~/.bashrc
$ source ~/.bashrc

最新の TeX Live をインストールした場合、適宜 TeX Live をアップデートしなければなりません。 TeX Live のアップデートなど、TeX Live 全体の運用を管理するコマンドは、 tlmgr コマンドです。TeX Live をアップデートするために、 定期的に次のコマンドを走らせましょう。update がアップデートをするコマンドで、 --selftlmgr 自身を更新するオプション、 --all は更新可能なパッケージを全て更新するオプションです。

% sudo tlmgr update --self --all

年度が変わる頃に TeX Live は大型アップデートがあります (例: TeX Live 2019 →TeX Live 2020)。 大型アップデートは tlmgr では行われないので、 大型アップデートを適用するにはインストールの手順を再度行う必要があります。

パッケージ管理ツールを用いたインストール

Linux ディストリビューションに含まれている TeX Live をインストールすることもできます。 ただし、この方法でインストールすると、(先程も述べたとおり)仕様変更によるバグが混入したり、 TeX Live の更新と Linux ディストリビューションの更新とのタイムラグがあるなどで、 思わぬ不具合の原因になるかもしれません。個人的には、この方法は勧めません。 ただし、システムのパッケージ管理と一元化できるというメリットもあります。

TeX Live は、いくつかのパッケージに別れて収録されていますが、 パッケージが足りずにエラーが発生することを避けるために、 フルインストールするのが良いでしょう。

% sudo apt install texlive-full

Windows の場合

Windows に TeX を導入する場合、 W32TeX を用いるのが良いかと思います。W32TeX は TeX Live がベースになっているので、 TeX Live をインストールするのと大差ありません。

TeX Wiki の記事 に W32TeX を導入する方法があるので、それを参考にしてください。

macOS の場合

macOS の場合は、MacTeX を利用して TeX Live をインストールすることができます。詳しくは TeX Wiki を御覧ください。 ただし、Ghostscript が MacTeX でインストールしたものと Homebrew でインストールしたものとで衝突し、 不具合が起こることがあります。この場合は、Homebrew を再インストールしてください。

上述の通り、MacTeX は Homebrew との相性が良くなく、また、 インストールしたものがいろいろなディレクトリに配置され、 アンインストールが容易でないので、私はあまりおすすめできません。 上記の install-tl を用いたインストール方法も macOS で利用できるので、 install-tl を用いてインストールすることをおすすめします。

TeX Live の古いバージョンをインストールする

古いバージョンの TeX Live をインストールする例として、 TeX Live 2019 をインストールします。 古いバージョンの TeX Live をインストールする利点は、 急な仕様変更によりバグが混入する恐れがないことです。 近年(2020 年ごろ)の LaTeX は仕様変更が多いので、 この利点は以前より大きいものになっています。

なお、インストールの大きな流れ自体は、 TeX Wiki の記事 も参考になります。また、過去の TeX Live をインストールする話は、 山本宗宏さんの記事 も参考になります。

まず、過去の TeX Live が集められている TeX Live historic にアクセスします。そうすると、“2019” というディレクトリがあるので、 その中を見てみると install-tl-unx.tar.gz があります。 これがインストーラです。wget して、インストーラを起動する直前まで持っていきましょう。

% wget ftp://tug.org/historic/systems/texlive/2019/install-tl-unx.tar.gz
% tar xvf install-tl-unx.tar.gz
% cd install-tl-*

これ以降は先に上げた山本宗宏さんの記事の受け売りです。 私自身はまだ試したことがありません……。

実際に、インストーラー install-tl を sudo 権限で実行します。 今回、TeX Live 2019 frozen の tlnet リポジトリとして、TeX Live historic に補完されている ftp://tug.org/texlive/historic/2019/tlnet-final/ を利用しますので、 その場所を -repository オプションを用いて指定します。

% sudo ./install-tl -repository ftp://tug.org/texlive/historic/2019/tlnet-final/

インストールが終了したら、シェルが TeX の場所を見つけることができるようにパスを通します。

インストール後の確認

インストールが終わったら、TeX がただしくインストールできているか確認しましょう。 ターミナルで tex と打って、インストールしたバージョンの TeX が正しく起動できれば成功です。

% tex
This is TeX, Version 3.14159265 (TeX Live 2020) (preloaded format=tex)
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